常々「思ったようにやっていい」「失敗してもいい」「考え込まずに行動に移せ」と言っていても、いざとなると社員は社長にお伺いを立てて、社長は一から段取りを説明して・・・こんなお話よく伺います。
「近頃の若いもんはなってない」から「何か自分のやり方は間違っているのか」まで、社長のお悩みはつきません。
突然ですが、もし旅人が水と食料以外は何もなく砂漠のど真ん中に放り出されたら、と想像してみてください。近くのオアシスにたどり着くための水と食料は確保できていたとしても、一目散に走り出したりとてもできないですよね。
「そりゃオアシスの場所を示す地図がなきゃ動けないよ」その通りですね。では地図を渡しましょう、太陽や星の動きで方角がわかるかもしれませんが、念のためコンパスも渡しておきましょう。
それでも、この旅人はそのうち水と食料も枯渇して、おそらくオアシスにはたどり着けないでしょう。
足りないのは「(地図上の)現在地」です。街の中でも、使ったことのない地下鉄の出口から地上に出ると、多少土地勘のある場所であっても、どっちに進んでいいか分からないことありますよね。
地図上の現在位置と目的地が分かって、方角が分かれば旅人は無事オアシスにたどり着けますよね。途中で目印などが確認できると、なお安心です。
社員が自分で走り出せないのは、会社の現在地・目的地・方角が不鮮明だからと考えてはどうでしょうか。「走り出せ」と言われた社員はひとまず正しい方向に走り出そうとして、「どっちに行けばいいですか?」と社長に問いますが、現在地や目的地が不鮮明だとコースがずれても自分では修正できず、社長が修正してくれるのを待つことになります。
会社における現在地は現状分析、目的地はありたい姿、方角は戦略や計画に置き換えられます。表現はいろいろありますが、ここでは全体をまとめて経営戦略と呼びましょう。経営戦略なしに社員の自主性を求めるのは、必要な物資・情報なしに旅人を砂漠に放り出すのと同じです。
「経営戦略を策定したのに、社員は走り出さないんだけど?」こんな場合もあります。社員は社命には従いますが走り出すのは自分のためになるときです。旅人がオアシスを目指すのは、生き延びるため、要は自分のためです。
「目的地が違ったら、会社がバラバラになる」その通りです、ですから社員を巻き込んで経営戦略を形作っていくんです。旅人と目的地のオアシスを確認して必要な物資を与えれば、待っているだけで旅人はオアシスに現れます。
「社長と社員のありたい姿は一致するとは限らないのでは?」社長と社員は立場は違うので、必ずしも一致しないでしょう。その際に目標管理制度が重要な役割を果たします。目標管理制度は評価の役割もありますが、重要なのは社員が自ら目標を立て、実現に向けて取り組んでいくことで、その進捗を見守り、時には支援を行っていくことにあります。
旅人に例えれば、オアシスにたどり着けば水や食料にありつけることに加えて、旅の途中でも一定期間毎に正しい方向に進んでいることが確認でき、困難に突き当たったら支援してもらえる心強い伴走者がいるようなものです。
社長は孤独と言われますが、旅に道連れがいれば、苦しみは半分・喜びは倍になると思えませんか?伴走型支援なら古石場コンサルティングに一度ご相談ください。