全社で盛り上がって実施が決まった、「○○定例会議」「5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)活動」「社内交流会」「DX推進」等の変革の取り組みも、繁忙期で一旦休止したらいつの間にか立ち消えになっている、・・・こんなお話よく伺います。
再開を促しても「人手が足りなくて」「予算が残っていない」という反応、または仕方なく形式的に続けているだけ、と社長のお悩みはつきません。
「人は変化を嫌うからね」なんて説明する人がいますよね。例えば、満員電車で押されると少なからず姿勢を維持しようと押し返すように、変化にさらされたとき現状を維持したいという抵抗感が働くの分かりますよね。
一方、私たちは同じ服に飽きてしまったり、イメチェンなどと言って自ら変化を選ぶことがありますよね。もっと言うと、どうして私たちの祖先は道具を使い火を使うようになったのでしょう。人ほど変化を好んでいる動物はいないとも思いませんか。
すなわち「人は変化を嫌う」というのは半分は正しくて半分は誤っていると考えられます。人の脳は生理的な反応を司る部分から、記憶や感情を司る部分、より高度な精神機能を司る部分まであるそうで、急激な変化に対しては生理的な反応として変化に抗う仕組みが発動するものの、高度な脳の機能はゆるやかな変化であればかえって好む傾向にあると言われています。
脳の働き云々では分かりにくいとすれば、プールへの飛び込みで腹打ちする場合と、プールの縁からゆっくり入る場合の違いを想像してみてください。言うまでもなく急激な変化が前者で、ゆるやかな変化が後者です。同じ水に入るのでも随分と違うことが分かると思います。
職場に話を戻すと、急激な変化を求めると、人は反射的にブレーキをかけてしまう習性があるということになります。ただし、いつまでもゆるやかな変化だけ求めていけば良いということではありません。プールで言えば縁に腰かけてから飛び込むことから始めて、だんだん上手に飛び込みができるように段階を踏んでいくことで、急激な変化にならない様にすれば拒絶反応は起きません。
日本のドラマにもなりましたが、ペンギンはエサの魚を捕るため群れで海に入りますが、海にはシャチなどの捕食者がいてリスクがある中で、海に最初に飛び込むペンギンを称えてファーストペンギンと呼びます。また、ファーストペンギンは最初に海に飛び込むのでエサにありつくチャンスが高くなります。
「時にはリスクを冒して飛び込まなきゃ」と思いますよね。今の時代、ゆるやかな変化だけではビジネスで生き残ることは正直難しく、むしろ挑戦し続けるためにファーストペンギンが必要とされています。
ではどうするか、社員をペンギンに例えましょう。安全な場所での遊びを通じた学びに始まり、他のペンギンについていって飛び込む経験もさせ、まずはペンギンとして普通に海に飛び込めるだけのスキルを身に着けさせる必要があるでしょう。一定のスキルが身についたとしても、ファーストペンギンとして飛び込むのは一段高いチャレンジになりますので、最後は腹いっぱいのエサの可能性や周囲の応援で、背中を押してあげましょう。
変革の取り組みが頓挫するのは、いきなり飛び込むからです。
変革にチャレンジする社員(=ファーストペンギン)が現れるには、適度なチャレンジを繰り返せ、失敗からもフィードバックが得られる環境が必要なんです。トレーニング無しに社員を変革に飛び込ませたら、社員は失敗するか逃げ出すかのどちらかでしょう。
その上でチャレンジする社員には、最大限のサポートを約束し、成功・失敗に関わらずチャレンジに対する対価(必ずしも金銭的である必要はありません)が与えられる必要があります。
変革はギャンブルではなく、マネジメントするべきものなのです。
変革のマネジメントの仕組み作りは一大プロジェクトですが、設計から完成まで付きっきりの助手がいたらいいなと思いませんか?伴走型支援なら古石場コンサルティングに一度ご相談ください。